生徒が書いた物語 二つ
水龍
あなたは、水龍を知っていますか。今からその水龍を見たお坊さんの話をしましょう。
昔、昔、大昔、山のおくふかくにあるお寺で、二人のお坊さんがくらしていました。
とある日、一人のお坊さんが、ふきんを持ち、「鳥居がよごれているかと思うから、ふいてきます。」と言って、寺を出ました。
それから時間がたつと、「もうそろそろ帰ってくるのでは…」と、もう一人のお坊さんがつぶやきました。もう一日がおわる、いくらなんでもおそすぎると思い、ろうそくをもって探しに行きました。しかしどんなにさがしても見つかりません。そのとき、ぜんぜん帰ってこなかったお坊さんが、お坊さんが、、、骨だけになっていました。
あまりにもショックで腰が抜けたかと思いましたが、走る力はすこし残っていました。
お坊さんはまっしぐらにお寺に戻ろうとしたのですが、近くに大きくとても美しい湖があり、そこに鳥居が立っていました。
(これは…)お坊さんはまっしぐらに湖に飛びこみ、鳥居のところまで泳いでいきました。
それからお坊さんは、あちらこちらとあたりを見回しました。
すると鳥居のさきにかすみのようなもようをしたつぼがありました。
お坊さんはまっしぐらにそのつぼの方に行きました。そしてそのつぼをこすってみました。
すると、しかのような角をもち、たかのようなするどい爪をもち、大蛇のような大きな体をもった水龍があらわれました。
お坊さんは水龍に
「この骨になった方をお助けください。」
とどげざをして何度も何度もお願いしました。
水龍は、しつこく言うお坊さんの願いを叶えることにしました。
水龍は、
「その前にひとつ条件がある。」
と言いました。
お坊さんはまじめな顔になり
「なんでしょう」
と言いました。
すると水龍はこわい顔をしているかと思いきや、とてもニヤけながら言いました。
「わしの絵をかいて本にしてくれ。」
さいしょはびっくりしたお坊さんでしたが、骨になったかたを助けなければいけないと実感し、条件にしたがうことにしました。
それからというとお坊さんは一生懸命絵の勉強をして水龍をたくさんかきました。
そのせいで部屋がちらかり深い森のようになってしまい完成した絵がどこに行ったかわからなくなってしまいました。
必死でさがしてやっとみつかり、その絵を本にして、骨になったお坊さんを助けることができました。
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